閉じる

2022年、武庫川女子大学薬学部は60周年を迎えました

学部長挨拶

薬学部⻑ 篠塚 和正
薬学部長
篠塚 和正

令和4年、武庫川女子大学薬学部が創立60周年を迎えましたことを、1万人を超える同窓生の皆様、学生そして学部運営にご尽力いただいてきた教職員の方々と共に、心より祝福させていただきたいと存じます。そして様々な場面でご支援とご助言をいただきました大河原量学院長先生と瀬口和義学長先生、学院の方々に厚くお礼申しあげます。

薬剤師養成のための薬学教育年限が法改正された2006年、本薬学部は6年制の薬学科と4年制の健康生命薬科学科という2学科でスタートし、現在に至っております。これは、国民の健康と医療に貢献する実践的な薬剤師を世に送り出すという伝統を堅持するとともに、薬学がカバーする広範な分野に、多様な研究者や技術者を送り出すという使命も継続するという考えに基づいたもので、本学の立学の精神とともに、薬学部に流れている基盤的な理念と考えております。

薬学部長として薬学部の特徴を説明する機会が増えていますが、「実践的」と「多様性」という2つのキーワードを使わせていただいています。前者は主に6年制の説明の中で、臨床現場で活躍するための必須要素として、後者は主に4年制の説明の中で研究を展開する上での必須要素として、その力が大切であることを伝えさせていただいております。薬学科では現在、この「実践的」を今以上に具現化するための教育プログラムを開始しております。また「多様性」については、化粧品科学研究室等を新設し、他の薬学部にはない多様な教育科目と研究力を充実させているところです。興味のある方は薬学部ホームページをご覧いただければ幸いです。

この10年間、薬学を取り巻く環境は大きく変化しました。2014年に薬事法が「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に名称変更されて以後、薬剤師の仕事も患者中心となり、24時間患者対応や他の医療従事者との連携の推進等に加え、ICT等を利用した服薬期間中の遠隔服薬指導と服薬管理、業務のデジタル化や医療情報の利用と管理等も求められており、今後も大きく進化し続けていくと考えられます。医薬品等の研究においても、新薬開発ラグの縮小につながるような内容が同法に盛り込まれており、新薬開発研究や医療情報のデジタル化に関わる研究、生体シグナルから薬効評価を可能にするデバイスの開発等、研究課題は多岐に拡大しております。これからの超少子高齢時代において、薬学部がその専門機能を発揮することによって、このような社会的な期待に応えていきたいと存じます。本学及び同窓生の皆様からのご支援をいただきながら、その使命を果たしていくことを祈念して、ご挨拶とさせていただきます。

学部の今

薬学科⻑ 野坂 和人
薬学科長
野坂 和人
薬学科の近況報告

本学薬学部が1962年に創立されて以来、関係者の方々のお陰をもちまして60年を迎えることができました。この稿では、薬学科の近況と今後の方針について紹介させていただきます。

2006年に新しいスタートをきった6年制薬学科では、2015年に改訂された薬学教育モデル・コアカリキュラムに基づいた全国共通の教育と、本学独自の教育を調和させたカリキュラムによって、臨床実践能力はもちろん医療人としての倫理観と研究マインドを兼ね備えた薬剤師の育成を目指しています。その基盤として、下級生のうちに自立した学習習慣を根付かせ、学習意欲と学力の向上を図るため、2014年に薬学教育推進センターを発足させました。また、改訂コアカリでは、長期実務実習における薬局と病院での連携が重視されたため、それに対応すべく近隣の薬剤師会や連携病院の先生方の協力も得て、臨床薬学教育センターを中心に質の高い実践力の指導にあたっています。さらに今年度から、新時代の薬剤師を取り巻く環境に対応できるように、低学年から現場経験を養い有給インターンシップに参加する「早期プロフェッショナルプログラム」、臨床現場で役立つプラスアルファの付加価値を身に付けた薬剤師を目指す「アドバンストプログラム」、大学に整備されたICTを活用して主要な科目を動画配信で学習できる「自由自在オンデマンドプログラム」の3つの教育プログラムを開始しました。

一方、薬学科の教員は、各自の専門分野で活発に研究活動を続けています。講義や実習だけでなく、研究室で教員と共に実験や調査研究を経験することが、多彩な分野で活躍をされている同窓生の皆様の後継者育成に繋がるものと信じています。今後とも、ご支援ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

健康生命薬科学科長 森山 賢治
健康生命薬科学科長
森山 賢治
健康生命薬科学科のこれまでこれから

健康生命薬科学科は、薬学部創設60周年を迎える2022年4月に第17期生を迎えました。同年3月には13期生を送り出しました。ここに至る本学科の10年の歩みの概略を紹介させて頂きます。

2014年、第2代目学科長に篠塚和正先生が就任され、そのご発案により、化粧品コースをはじめとする12のコースを設定、進級制度も改変されるなど教育課程が大きく改革されました。その結果、入試倍率も6倍~10倍という倍率で新入生を迎え入れました。

2016年には、学生と教員を完全に分離する現行の2学科制に移行し、翌2017年には「活気ある充実した研究教育機関とするために」を目標に掲げ骨太の方針を決定しました。この方針を受けて、カリキュラムの改訂、学修の順次性をそれまでの9コースから3+1のコース制に集約し、新薬臨床試験探求コース、健康食品開発探求コース、健康化粧品探求コースそして理科教員養成コースに再編しました。これら改訂カリキュラムを実現するために、2019年に化粧品科学研究室を新設し、2020年には食品機能科学研究室を創設しました。

2020年度より学科での研究を褒賞するために、「最優秀発表賞」を創設しました。就職については、卒業生の努力が報われ就職希望者に対する就職率は100%を維持しています。

これからも健康生命薬科学科に温かいご声援をくださいますようお願い申し上げます。

記念事業の報告

薬学部創設60周年にあたって

2022年(令和4年)に薬学部創設60周年を迎えるにあたり、
令和3年に60周年記念事業委員会を設け、記念事業の立案、実施を担ってきました。

新型コロナ禍での記念事業となることから、残念ながら、記念式典・祝賀会、記念講演会など、
皆様ご参集のもと行う事業については自粛することとしました。

しかし、母校の伝統の継承発展に資するため、60周年の記念となる以下の事業を企画、実施しました。
なお本事業に賛同いただいた多くの卒業生、旧職員、現職員の方々にこの場をお借りして感謝申し上げます。

記念誌及び記念品は、事業にご賛同いただいた皆様に、2022年12月末より順次発送させていただきます。

  • 薬学部創設60周年記念誌の発刊

    薬学部創設50周年からの10年間の歩みをご紹介するとともに、薬学部の今をお届けすべく、薬学部創設60周年記念誌を作成しました。この10年の間に、1学部2学科体制が整えられ、それぞれの学科のカラーを生み出しています。また、時代のニーズを捉え、薬学教育推進センターや、武庫川女子大学PCRセンターを設置しました。詳しくは、学部長挨拶、学科紹介等をご覧ください。なお発刊にあたり、多くの名誉教授、旧職員の先生より学部への想いをご寄稿いただきました。ご協力いただいた皆様に感謝申し上げます。

  • 薬学部創設60周年記念品の作成

    創設60周年の記念品として、フェイラージャパンおよび㈱サラトとの共同でオリジナルハンカチを制作しました。皆様ご承知のように、フェイラー(FEILER)は、ドイツ・シュニール織の歴史と伝統あるブランドです。デザインは、本学のカラーの1つであるピーコックグリーンを基調に、薬学Lavyと60周年のお祝いの花束をイメージして作成し、本記念事業にご賛同いただいた皆様に送付いたしました。長くご愛用いただけると嬉しいです。

    [註釈]Lavy(ラビー)は武庫川女子大学のキャラクターです。

    デザイン画