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薬学科の卒業生の活躍


卒業生の声

2003年度卒 木本絵美

研究者として薬を通して患者さんに貢献する

2003年卒 木本絵美
Pfizer Inc. 米・コネチカット州

本学の卒業生で、現在アメリカの製薬会社のファイザー(Pfizer Inc.)にお勤めになっている木本さんにインタビューしました。

― 受験生に参考にしていただくために、卒業生にインタビューをしております。本日は宜しくお願いします。

よろしくお願いします。

― 薬学部を卒業してから現在までの経歴を教えてください。

私は武庫川女子大学薬学部生物薬学科を卒業した後、北海道大学大学院薬学研究科医療薬学分野臨床薬剤学研究室に進学しました。その後、名古屋にあるファイザー株式会社という外資製薬会社に入社し、薬の研究(創薬研究)に携わりました。

ところが、入社2年目の冬に研究所の閉鎖がアナウンスされ、再就職活動をすることになってしまいました。そのとき、自社のアメリカサイトで募集があったので応募、面接を受け、いい返事をもらったので渡米を決断しました。

2007年11月下旬からアメリカ東海岸にあるコネチカット州で引き続き創薬研究に携わっています。

― 研究所ではどんなことをやっているかを教えてください。

一日も早く安全で効果のある薬を患者さんの手に届けるために、日々チャレンジを繰り返し研究開発に取り組んでいます。

私達が研究している物質は、まだ世に出ていないので(探索段階といいます)、薬とは呼ばず新薬候補の化合物と呼びます。

薬の研究と言うと『試験管で色んな薬を混ぜてゴポゴポ、ボン!さぁ出来た!』みたいなイメージをされる方が多いかと思いますが、研究イコール試験管なわけではありません。

私は、探索段階の化合物が、どのように身体の中に入って代謝され身体から出ていくか、他の薬物や体内の物質との相互作用はどのようなものか、あるいは患者さんに投与する場合の投与量はどの程度が適切かといった問題に取り組んでいます。

― 製薬会社に入って感じたことはどんなことですか?

1つの薬を患者さんの手元に届けるには、十数年の歳月と莫大な費用がかかります。私の関与する基礎研究の部門だけでも、約2〜7年の期間が必要です。その後、臨床試験を経て承認までにまた約7〜10年かかります。

製薬会社には、理系の研究者だけじゃなく、ITや文系の専門家が大勢います。化合物が医薬品になるまでには、たくさんの専門家の手を経て慎重にステップアップしていきます。自分の出すデータの進捗がその医薬品が患者さんの手に届くまでにどれだけ影響するか、会社の研究開発費用にどれだけ影響するか、様々なことを考えさせられます。

大学院までの研究と大きく違うのは、さまざまな角度から研究を行ないますので、私が担当している薬物動態だけではなく創薬の全体像を把握する力が必要だということです。

何のために今研究をしているか、”Patient is waiting”を忘れずに、創薬研究にインパクトを与えられる研究者でありたいと考えています。

― 国際的な製薬企業ではたらく魅力を語ってください。

日本だけでなく、世界に拠点を持った会社でグローバルに研究を行ないたいという気持ちがファイザー株式会社を選んだ理由でした。

実際に働き始めると、日々海外の研究者とメールのやりとりや電話会議がありますし、海外のスタッフの来日も日常です。グローバルなネットワークの中で研究をしているのだ、とスケールの大きさを実感する日々でした。

実際に、再就職というかたちで、アメリカに異動することは予想していませんでしたが、貴重な経験と考えています。

― 大学時代に戻りますが、木本さんが薬学部を目指すきっかけとなったことを教えてください。

小さい頃、アトピー性皮膚炎を患っていた期間がありました。ちょうどその頃アトピー性皮膚炎の特効薬であるステロイドの副作用が取り沙汰されていて、薬を塗ることにも飲むことにも、とても抵抗がありました。

しかし、ある時、ステロイドは使い方次第で副作用を最小限に抑えることができ、患者さんにとってとても有効な薬だと知りました。それまで心のどこかで『薬は怖いもの』と思い敬遠していたのですが、このことをきっかけに『薬』についてもっと知りたいと思うようになりました。

その後は、臨床薬剤師を志して薬学部に進学し、さらに、より専門性のある臨床的な研究がしたいと考え、大学院に進学しました。

私にとって大きな転機となったのは、不整脈の治療に有効なある薬との出会いです。

その薬はとても強力な効果を発揮する反面、時として大きな副作用を示しました。『なぜ副作用が起こるのか』そのメカニズムにとても興味を持ちました。そのメカニズムに対しての研究を進めれば進めるほど、薬そのものを作る段階から関わり、より安心して使える薬を世の中に届けたい、という思いが強くなりました。

― 薬学部で学んだことはどんなふうに役立っていますか?

学生時代に培った知識は全てフル活用ですよ。教科書も引っ張り出してフル活用です。

大学院での研究は、論理的に想定される仮説をもとに細かい研究を行うので、むしろ学生時代に学んだことだけでは知識が足りないくらいでした。ひたすら学術雑誌・論文を読んだことを覚えています。

武庫川では臨床にフォーカスした授業、実践的な実習や病院実習をしたので、病院との共同研究の際にはこれは大変役に立ちました。

また、4年生の時の研究室では、研究に関する調査をする、実験のノウハウを知る、といった点が大学院で役に立ったと思います。

会社に入ってからは、有機合成、薬理学、薬物動態、生化学、毒性、病態生理、果ては大規模臨床試験の論文の読み方・調べ方、臨床ではどのように薬が使われているかなどの臨床薬理学、処方解析学といったところが役に立っています。

薬学部出身じゃない人に比べ、全ての必要な分野を広く知っているということがとても強みになっています。

― 学生時代の想い出を教えてください。

学生時代の全てが今の自分に繋がっています。知識も、友人も、バトントワーリング部で得た体力・忍耐も、武庫川女子大学に入学したから得られたものばかりです。

『授業の単位数は全国共通のはずなのに、他大学に比べ授業数が多い気がする〜』とか、『正月明けに試験をするなんてひどいな〜』とか、『薬のカタカナ名なんて覚えられない〜』とか、試験に苦しんだり文句も言ったりしましたがそれも楽しいことの一つでした。入学したての時の丹嶺研修も楽しかったな〜と思います。

MFWI夏季留学はとてもいい経験でした。これは夏季1ヶ月の短期留学プログラムなのですが、全ての学部が対象なので、他学部の人と知り合うとてもいいきっかけでもありました。せっかくアメリカにいるのですから、そのうちまた訪れたいです。

そして薬学部の大イベントといったら、国家試験でしょう。卒業研究も終わり、11月から国試に向けてひたすら勉強の毎日。これこそ本当に友人達との励まし合い、勉強の教え合い、たまの息抜き、が出来たからこそ乗り越えられたと思います。

― 受験生、あるいは後輩の在学生へのメッセージをお願いします。

アメリカでもそうですが、超有名大学に行かないと研究の仕事が出来ないわけじゃないです。英語が出来ないと国外で働けないわけじゃないです。

モチベーションとポジティブシンキングと楽しむ気持ちさえあれば、どんな局面でもそれなりに困難を乗り越えて、多くのことを吸収し成長していけると思います。受験生の皆さん、自分の選択に自信を持って進んでくださいね。

私は今、薬剤師としてではなく、研究者として薬を通して患者さんに関わる仕事をしています。薬学部6年制によって、更に専門性の高い授業、実習が組み込まれることと思います。ぜひそこで得た知識を世の中の人のために活用してもらえたらと思います。

この文章を読んでくださった方々と、いつかどこかで繋がって一緒に仕事が出来ればこんな素晴らしいことはありません。私の経験談が、少しでも受験生の方々や在校生の皆さんの参考になれば幸いです。

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