研究室紹介INTRODUCTION

教授より一言

 2024年、武庫川女子大学は創立85周年を迎えた。本学は、大学生活を通して、「自ら考え、動く」力を育成することで可能性を広げ、一生を描ききる女性力を育む教育を実践するため、13学部21学科(2025年4月現在)を有し、約1万人の学生が学ぶ日本最大規模の女子総合大学である。中でも、薬学部は有能な薬剤師を輩出してきた実績と伝統を持つ。薬剤学研究室は、本学薬学部創設初期の1964年に設立された。初代岩山陽治教授、2代目水野亘恭教授、3代目橋幸一教授から受け継いだ絆、そして私たちの若いパワーで、学生と共に夢を持って、医療への貢献と進歩のために、薬学の教育と研究に取り組んでいる。

 現在、2025年4月時点でのメンバーは、私と川見昌史准教授、崎谷愛未助手、中尾晃大助手、6年制の学部生19名(6年生12名、5年生7名)、4年制の学部生13名(4年生5名、3年生8名)が在籍している。講義は、薬物動態学と臨床統計学を担当し、インプットとアウトプットをバランス良く授業することはもちろんのこと、計算が苦手な学生のニーズに適した授業、教材の開発にも力を入れている(監修丸山一雄 編集中瀬朋夏 わかりやすい薬物動態計算問題の解き方 ネオメディカル (2019))。実習は、製剤学を中心としたプログラムを構成し、押し出し造粒機やロータリー式打錠機を使用した固形製剤の製造技術の学習が可能である。薬剤学研究室の配属では、6年制は4年次から受け入れており、毎年多くの希望者が殺到している(2025年度より募集停止)。また、2024年度より薬学部健康生命薬科学科(4年制)に未来バイオ創薬デザインコースが新設され、薬剤学研究室はそのコースを牽引することとなった。未来創薬デザイン論や先進ウィメンズ学を取り入れ、健康と生命に関わる学びを、女性のためのサイエンスから紐解き、薬のデザインを考える。世の中は、超少子・高齢社会の到来、新薬の誕生、新しい感染症の登場など、常に変化している。未知の状況にも、柔軟に対応できるバランス感覚に優れた薬剤師と新時代をリードする女性研究者の育成に、日夜努力している。


2025年4月吉日
薬剤学研究室 中瀬 朋夏



文章・画像は「中瀬朋夏、薬剤学ワールドから未来のくすりをつくる、薬剤学, 84(3), 159-162 (2024)」より一部改変して引用