研究内容
ヒトを含め、生物のからだは、『炭素』という原子を中心とした『有機化合物』でできています。食べ物やくすりも有機化合物の一種です。『有機化学』は、有機化合物ができるとき、どのようにして原子と原子が結びついたり、離れたりするか、その性質を調べる学問です。
①ナフトキノン骨格をもつ抗腫瘍活性天然物の化学的全合成に関する研究 天然植物から得られる化合物は多様な活性を有しています。中でも抗腫瘍活性を持つ天然化合物は医薬品になる可能性を多く秘めているため、効率的な合成法を見つけることが大切です。Lantana involucrata という植物には抗腫瘍活性をもつ化合物(Lantalucratin B)が含まれ、その全合成に挑戦しています。 |
②多剤耐性腫瘍細胞に有効な抗ガン剤の設計・開発 白鶴霊芝という中国原産の小灌木はさまざまな有効成分を含んでいます。リナカンチンという物質が癌に効くという報告がありますが、植物からは微量しか得られません。化学的合成ルートの開発によって大量供給が可能になります。 |
③含窒素複素環化合物の新規合成法の開発 アフリカでは植物由来の民間薬が現在でも広く使われています。近年、その有効成分にキノロン骨格を有する化合物が多く含まれていることがわかって来ました。植物の乱獲防止のためにも、有効成分の化学的合成法の確立が望まれています。 |
既に“薬”として世の中で活躍している化合物の合成法や作用機序、副作用などを調べ、“これからの薬”の合成に導きます。 |