2nd Department of Biochemistry
Faculty of Pharmaceutical Sciences
MUKOGAWA WOMEN'S UNIVERSITY


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チアミン代謝酵素や膜輸送の分子機構に関する研究

 生化学Ⅱ研究室は微生物およびヒトの栄養物質代謝を探求する研究室です。現在は主にビタミンB1すなわちチアミン代謝関連酵素の反応機構、阻害剤、発現調節機構に関する分子レベルでの研究を行っています。これらの研究成果はチアミンと疾患との関わりについての研究に結びつくだけでなく、新規の抗菌剤開発に応用されることが期待されます。

チアミンについて
ビタミンvitaminとは、米ぬかより得られたニワトリの脚気症状を治癒する物質を、生命に必要な活力を持つアミン(vital amine)という意味で名付けられたものです。現在この物質はビタミンB1(チアミン)と呼ばれています。チアミンは全ての生物に必須の栄養素であり、その生理作用としてチアミンピロリン酸による補酵素としての作用がよく知られています。また、神経において特別な生理作用を持ち、その作用をチアミン三リン酸に見出そうとする研究も進んでいます。チアミンピロリン酸は糖、アミノ酸代謝に関係する重要な酵素の補酵素となっているよ。つまり、糖からエネルギーを得るためには必須のビタミンといえます。甘いものと共にビタミンB1を摂取すれば疲れも吹き飛ぶかも。
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生合成酵素遺伝子の単離と酵素学的性質の解析

 チアミンの生合成経路はこのように非常に複雑です(下図は酵母の例)。ヒトなど動物は最終段階のチアミンピロリン酸(TPP)を生成するチアミンピロホスホキナーゼ(THI80)しか持っていません。好熱性古細菌、ピロリ菌、ユーグレナなどのこれらチアミン生合成酵素の反応機構を解析しています。最近、新規のチアミンリン酸合成酵素を古細菌で同定し、分子モデリングの技法で反応機構を推定しました。
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膜輸送系の解析と関連タンパク質の同定

 ピロリ菌は微生物であるにもかかわらずチアミンのde novo合成ができず、生育するためにはヒトと同じように外からチアミンを取り入れる必要があります。そこで、ピロリ菌のチアミン取り込み系を解析し、抗ピロリ菌開発への応用を目指しています。

チアミンピロホスホキナーゼ異常酵素の酵素学的解析

 生理的量よりもはるかに大量のチアミンを投与することにより初めて症状が改善されるチアミン依存症という遺伝性疾患があります。最近、本症の原因酵素の一つとしてチアミンピロホスホキナーゼが同定されました。この異常チアミンピロホスホキナーゼの性質と病態との関連について解析しています。

細菌感染により誘導される新しい炎症メカニズムの解析

 生化学Ⅱ研究室のもう一つのテーマとして、細菌感染で誘導される炎症の生体防御における役割の解明があげられます。細菌感染症から身を守るには、感染した病原体に応じて免疫を誘導することが重要です。しかし、その誘導メカニズムの全てが解明されたとは言えません。私たちは、細菌感染で誘導される新しい炎症応答(Fasシグナル経路を介した炎症応答)を発見しました。また、この炎症によって、従来は知られていないヘルパーT細胞が誘導され、細菌感染防御で重要な役割を担っている可能性が示されています。私たちが発見した新しい炎症応答をさらに詳しく研究することで、細菌感染に有効なワクチンの開発などに役立て、感染症の制圧に寄与したいと考えています。
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