当研究室では、細胞生物学の手法を用いてパーキンソン病をはじめとする神経変性疾患のメカニズム解明に挑んでいます。
「細胞の中で何が起きているのか?」を詳細に観察し、薬学の力で新たな治療法への道筋を創り出すことを目指しています。
パーキンソン病は、脳内のドパミンを作る神経細胞が死んでしまうことで、手足の震えなどの運動障害が起きる進行性の病気です。異常な構造をとるタンパク質が脳内に蓄積することが特徴ですが、「なぜ細胞が死ぬのか」という根本的な原因は未だ解明されていません。
そのため、現在は症状を和らげる「対症療法」が中心で、原因を解消して完全に治す治療法はありません。当研究室では、病気の発症に深く関わるタンパク質を分析し、病気のメカニズムを解明することで、進行を止める新しい治療法の確立を目指しています。
当研究室では、糖尿病や脂質代謝異常などの生活習慣病とパーキンソン病をつなぐメカニズムに着目しています。これらは異なる病気ですが、細胞内のエネルギー工場である「ミトコンドリア」の異常と、細胞にダメージを与える「酸化ストレス」の亢進など、共通した現象が見られます。
現在、糖尿病とパーキンソン病の両方に関与するミトコンドリアタンパク質のはたらきと細胞死への関与について研究しています。
薬学部ならではの視点で、神経保護作用を持つ化合物の探索や、既存薬の新たな効果(ドラッグ・リポジショニング)を検証しています。当研究室では、脂質異常症の薬である「プロブコール」が酸化ストレスを抑える強い抗酸化作用を持ち、神経細胞を守る効果があることを明らかにしました。
この知見を基に、より効果の高い投与方法の検討や、さらに機能を強化した新規化合物の開発、動物実験による有効性の検証を進めています。