ヒトの身体は約 50 兆もの細胞が集まってできています。これらの細胞が互いに協力し合って働いているので私たちは快適に生きています。では、このような多くの細胞はどのように協調し合っているのでしょうか?それは、細胞一つ々がいろいろな方法で連絡を取り合い、お互いの情報を交換し合っているのです。この細胞同士の連絡は細胞間クロストーク(細胞間コミュニケーション)と呼ばれ、巧妙な生体制御機構の最小単位として働いています。現在、様々な細胞間相互情報伝達システムが発見されつつあります。
「ひとは血管から老いる」と言われています。高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病は、血管のしなやかさを低下させ、様々な病気の発症リスクを高めることが知られています。私たちは、生活習慣病が血管機能にどのような影響を及ぼすのか、どうすれば予防できるかを研究しています。
また、セルフメディケーションとして、健康維持や疾病予防のために健康食品を利用されている方が増えています。しかし、健康食品の中には、その効果の機序や、作用を示す成分が明らかになっていないものもあります。私たちは、健康食品が効果をあらわすしくみや、その有効成分の探索を行うことで、より安全に・効果的に使用するための科学的根拠を探っています。
【研究概要】
「生活習慣病が血管機能にどのような影響を及ぼすのか、どうすれば予防できるか」
私たちは、2つの観点からアプローチしています。
1つ目は、血管の周囲に存在する脂肪組織(PVAT)の役割についてです。近年の研究で、脂肪細胞は脂肪を溜めるだけの細胞ではなく、様々な活性を持った物質を産生・放出することで、血管のしなやかさに影響していることがわかってきました。私達も血管とPVATとのクロストークに着目して研究をしています。
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2つ目は、細胞には、様々な情報を受け取るための受容体と言われるタンパク質が存在していますが、血管壁のプロテアーゼ活性化型受容体-2 (PAR-2) の役割についてはいまだ不明な点があります。PAR-2は、酵素によって切断されることにより活性化されるユニークな受容体です。私たちは、生活習慣病における血管機能障害に対するPAR-2の関わりを調べています。
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「健康食品が効果をあらわすしくみやその有効成分はなにか」
血圧が高い、胃腸の動きが悪い、排尿に問題がある等の症状に悩み、これらの症状を緩和するために健康食品を利用しているひとが多くおられます。これらの健康食品が効果を示すメカニズムはどのようなものか、主な成分は何か、また、使用の際に気をつけなければいけないことはなにか等を調べています。
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